AGAの遺伝子検査で分かること 安く検査を行うには?

遠心分離機

 

遺伝子検査を受けたことはあるでしょうか?

遺伝子が私たちの生まれ持った能力や病気のなりやすさに深く関わりがあることは広く知られていますが、遺伝子検査までしてそれを確かめたことがある人はまだまだ少ないですね。

実はAGAも遺伝子との関わりが大きいことは知られており、遺伝子検査をすることによって様々なことが分かると言われています。

すでにAGAを発症している人も、まだ発症していないけど将来が不安な人にもAGAの遺伝子検査は受ける価値があります。

この記事ではAGAの遺伝子検査を受けたら何が分かるのか、遺伝子検査はどこでできるのか、費用はどのくらいかかるのかを紹介します。

 

遺伝子検査で分かること

①AGAの発症リスク
 
 若いうちからハゲ始めるのか、歳を取っても毛髪を維持できるのかが分かります。AGAのなりやすさが数値で分かるということですね。

 と以前は言われていましたが、現在は本当に分かるのか統計的根拠に乏しいです。

②フィナステリドの効き易さ

 AGA治療の基本薬であるフィナステリドが体質的に効き易いのかが分かります。フィナステリドの効きやすさが分かることで、AGA治療をどのように進めていけば効果的なのか計画が立てやすくなります。

 

遺伝子検査の仕組み

ちょっと小難しい話になりますが、遺伝子検査では何を見てどう判断しているのかを解説します。

AGAの遺伝子検査では、AR遺伝子について解析します。

ARとは男性ホルモン受容体のことで、AGAの遺伝子検査ではAR遺伝子のリピート領域の解析を行います。リピート領域とは同じ塩基配列が反復して見られる領域のことです。

このような遺伝子解析のことを男性ホルモン受容体(AR)遺伝子解析と言います。

この解析は適切な品質管理体制の整った遺伝子検査施設で行われます。一般の病院ではそのような設備がないため病院内では検査することができません。遺伝子検査を行うためには、検体(血液など)を遺伝子検査施設に送って解析を依頼します。そのため、施設から解析結果が手元に届くまでに3週間~1ヶ月ほどの時間がかかります。

AGAはDHTが頭皮に存在する男性ホルモン受容体に結合することで発症すると考えられています。逆に言うと、男性ホルモン受容体が少なければDHTがどれだけあってもAGAは発症しにくいです。

男性ホルモン受容体遺伝子はX染色体上に存在し、CAGリピート配列、GGCリピート配列があります。リピートとは塩基配列の繰り返し数のことです。

DNAの二重らせん構造を思い出してください。DNAは4種類の塩基成分から構成されていて、それぞれA(アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)と名前がついています。

それらが一見ランダムに並んでいます。 (例) ATGCGGCTAGGTCAGGGTCAT…

その中でCAGやGGCと並んでいる部分があり、その並びが何度も現われます。その数をリピート数と呼びます。

リピート数が何回現われるかは個人差があり、その回数によりAGAの発症リスクが分かると言われています。

具体的には、CAGとGGCのリピート数合計でAGAの発症リスクが分かります。

リピート数の合計が少ない人は男性ホルモン受容体の数が多く薄毛になりやすいです。

逆にリピート数の合計が多い人は男性ホルモン受容体の数が少なく薄毛になりにくいです。

リピート数の閾値は38と言われていて、つまりリピート数が38回以下ならAGAが発症しやすくハゲやすい、38回より多ければAGAが発症しにくくハゲにくいということになります。

また、CGAリピート数でフィナステリドの効きやすさの目安にできることが報告されています。

 

遺伝子検査の精度

遺伝子検査は多くのAGAクリニックで受けることができます。中には遺伝子検査を積極的に患者さんに勧める病院もあります。病院のホームページでも遺伝子検査が受けられることをアピールしている病院もあります。ちなみに遺伝子検査をAGAクリニックで受けると言っても、実際には遺伝子情報の入った検体を病院から専門施設へ送付して検査の依頼をするだけです。検査方法は同じなので、どのAGAクリニックで受けても検査キットを自分で取り寄せて受けても、検査の精度は全く変わりません。

 

では、どのくらいの精度でAGAの発症リスクが分かるのかという点ですが、結論から言うと信憑性はほぼないです。

1998年の108名の男女を対象にした小規模な試験でAGA患者のCAGリピート数が少なかったと報告されたことが、AGAの遺伝子検査で発症リスクが分かるという根拠になっていますが、2012年にそれを完全否定される報告がされました。8つの研究のメタ解析で、AGA患者2074名とAGA患者ではない1115名を比較した結果、CAGとGGCリピート数とAGA発症リスクの相関がないことが分かっています。

つまり、『遺伝子検査でAGA発症リスクが分かる』という話は言い過ぎと言っていいかもしれません。少なくとも2016年現在ではコントラバーシャル(学問的に意見が対立している状態)です。多くのAGAクリニックでいまだに遺伝子検査でAGAの発症リスクが分かるとサイトに記載しているのはちょっと信じ難い現実です。利益のために誇大広告をしていませんか?

フィナステリドの効き易さについては、AGA患者149名を対象にした研究論文があり、リピート数の短さとの関連性があると報告されているので一定の信頼性があります。フィナステリドの効き易さを調べたい時にだけ遺伝子検査は受けましょう。

もし遺伝子検査でフィナステリドが効きにくいことが分かれば、プロペシアなどのフィナステリド製剤でAGA治療を行う必要がなくなります。プロペシアを病院で処方してもらうと1か月分で7,000円~9,000円はします。7,000円としても1年間で84,000円程度かかります。10年間なら84万円です。遺伝子検査の結果、その費用をかけなくて済むことが分かるなら遺伝子検査をやる意味は非常に大きいですね。

 

遺伝子検査はどこで受けられるか

①病院で遺伝子検査を受ける

遺伝子検査はAGAクリニックなら受けられることが多いです。皮膚科ですと受けられない場合が多いです。

遺伝子の採取方法は病院によって異なり、ほっぺたの内側の粘膜を綿棒でちょいちょいと擦るだけで終わるところと、数ccの採血するところがあります。いずれも体への負担はほとんどありません。どちらの方法で行うかは病院によってまちまちます。

遺伝子の採取方法は違いますが調べる内容は同じなので、どの病院で受けても自分で検査キットを取り寄せて受けても結果は同じです。

病院は採取した検体を専門の検査機関に送付して検査結果を待つことになるので、検査結果が分かるまでに3週間ほど時間がかかります。

費用は病院によって差がありますが、18,000~30,000円が相場です。

だいたい20,000円前後で行ってくれる病院が多いので、30,000円の病院は他の病院と同じサービスを提供しているだけなのに不当に高過ぎやしませんか?という印象です。

 

②自分で検査キットを取り寄せて検査する

検査キットを取り寄せて、自分でほっぺたの内側を綿棒でこすり粘膜を採取します。

それを送り返すと、検査機関が遺伝子検査を行い、2~3週間後に検査結果と説明が書かれた文書を送付してくれます。

価格が安いAGAドッグで13,000円くらいです。

病院に比べるとかなりリーズナブルですね。病院で受けるのと検査結果は変わりませんから、遺伝子検査を受けるならこちらの方が良いと思います。

男性用と女性用があります。

 

父親や祖父が薄毛で、将来自分もヤバいかな?と不安な人は遺伝子検査をやってみたいと思うかもしれませんが、必ずしもAGA発症リスクが正確に分かるわけではないと覚えておきましょう。

ただしフィナステリドの効き易さはある程度分かりますので、これからAGA治療をしようという時にフィナステリドをどのくらい服用すべきか検討する材料にはなりますね。

検査結果を見てフィナステリドが効くことが分かれば精神的に安心して治療を継続できる利点もあります。AGA治療薬の効果が出るまでには数ヶ月間かかるので、その間ずっと「本当に薄毛が改善しているのか?」と疑心暗鬼になりながら薬を呑み続けなければいけません。遺伝子検査の結果を見て効くと分かっていれば不安が和らぎ、自信を持って治療を続けられると思います。

逆に、運悪くフィナステリドが効きにくいと分かれば、ミノキシジルや他の治療法へ重心を移した治療にすれば良いのです。効かないものを飲んでも意味がありませんからね。ミノキシジルと生活習慣などの改善で治療した方が効果的でしょう。フィナステリドを10年間服用した場合の費用は84万円にもなりますが、運悪く効かなかった場合にはそれが無駄金となってしまいます。そのリスクを避けるための先行投資として遺伝子検査を受けてみるのもアリですね。

難点はちょっと料金が高いところでしょうか。病院で検査を行うのは止めておきましょう。検査キットを取り寄せて行った方が圧倒的に安いです。

30,000円と13,000円じゃ違い過ぎますね。

病院で検査を受けると費用が割高になりますが、病院で受ける場合の唯一の利点としては検査結果を見て医師から適切なアドバイスが受けられることです。

同じ検査結果を見ても素人が解釈するのと、専門知識のある医師が解釈するのでは見方が異なる場合もあります。

私がもし病院でAGA治療をすると決めたなら、まず自分で検査キットを使って検査し、病院に検査結果を持っていってそれを医師に見せてアドバイスを受けます(笑) 

どうせ同じ検査をするならその方が安上がりですからね。

すでにAGAの進行が進んでおり現在治療中の方は、フィナステリドの効きやすさを確認するためだけに遺伝子検査を行えばいいと思います。

フィナステリドで順調に薄毛が改善しているならば検査を行う必要はありませんが、効果が怪しいと感じたら確認の意味で一度遺伝子検査をしてみると良いでしょう。

効いてないことに気づかずフィナステリド製剤を使い続けていたら、今後もお金をドブに捨て続けるようなものです。

 

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