食生活で薄毛を改善 髪と食の医学

薄毛男性が食事をパシャリ

 

髪に良い食べ物というと、ワカメや昆布が良いなんて言われることがありますね。

たしかに海草の深い緑色は何となく髪に良さそうに見えます。私も小さい頃に親に「黒くて綺麗な髪になるしハゲないから」と言われて食べさせられていました。「いやいやオヤジ、海草を食べてるお前の頭は禿ているぞ」と思いつつも、言われたまま食べていました(笑)

実際にワカメや昆布に含まれている成分から見て「海藻が髪に良い」という話は本当なのかというと、ヨードやミネラルは確かに髪の成長に必要な成分なので「髪に良い」と言えます。ただ、それ以外にも髪に必要な成分はたくさんありますし、AGAと栄養素には関係がありませんので「ワカメには育毛効果がある」とか「海草を食べていれば禿ない」なんていうのはちょっと話を盛り過ぎですね(笑)

 

では髪に必要な栄養素にはどのようなものがあるのでしょうか。

①タンパク質

 髪の主成分はケラチンというタンパク質なので必須です。

②ビタミン、ミネラル

 タンパク質を合成するためにミネラルが欠かせません。髪へ栄養素を届ける血管の健康ためにもビタミンは必須です。

③糖質、脂質

 身体全体が健康でないと髪も健康を維持できませんので、糖質や脂質も必要です。

って、「これあらゆる栄養素を食えってことじゃん」と思われかもしれませんが、その通りです(笑) 結局、髪を健康に保つには全ての栄養素がバランスよく必要なのです。バランスよく何でも食べることが髪にとって一番良い食事です。王道ですが、これが食生活で一番重要なことです。

髪はタンパク質で出来ていますが、タンパク質は消化に時間がかかる食べ物です。また髪は夜間の睡眠時に成長するので、寝る3時間前には食事を済ませておくのが理想的と言われています。

 

ただこれだけの情報で終わってはこの記事をわざわざ書く意味もありません。

ここからは育毛に特に効果のある成分や、髪に悪影響のある食生活について紹介していきます。

 

 

カプサイシン

唐辛子

唐辛子などに含まれるカプサイシンに育毛効果があるのではないかと言われています。

知覚末梢神経末端に作用し、カルシトニン遺伝子関連ペプチドCGRPの産生、放出を促進することが判っています。

このことからカプサイシンを含むサプリメントがAGA・男性型脱毛症に効果があると言われることがありますが、まだ臨床的には実証されていません。

今後、多くの症例を通じて長期服用の効果などが検証される必要がありますね。

この説が意外と信憑性があるなと思われるのは、韓国人男性の薄毛率は世界的に見てかなり低いことです。ご存知の通り韓国料理は非常にたくさんの唐辛子を使っていますので韓国人男性は日常的にカプサイシンの摂取量が多いのです。それがこの説を裏付けることにもなっています。ただAGAは遺伝的要因も大きいので、単純に韓国人男性の遺伝子にAGAになりにくい要素があるだけなのかもしれません。

カプサイシンは摂りすぎれば胃を荒し、他の栄養素の摂取の妨げになります。また胃がんの発症リスクも高まります。高濃度のカプサイシンは免疫細胞であるナチュラルキラー細胞の活動を妨害し、がんを発生させる危険性を高めることが2014年に報告されました。事実、食生活の影響で韓国人男性の胃がん発症率が世界一になっています。過度な摂取は控えましょう。薄毛対策にカプサイシン配合のサプリメントもありますが、中には過剰摂取になる可能性が高い商品もあるので注意してください。

 

亜鉛

牡蠣

亜鉛は、ミネラルの中でも人間の生命維持に欠かすことのできない「必須ミネラル」です。特に髪にとっては非常に重要なミネラルで、毛母細胞の分裂を促進させ育毛を促し髪の毛(ケラチン)をつくるのに使われたり、キューティクルという髪を守る組織を保護するコラーゲンをつくる働きもあります。また亜鉛にはAGAの原因である5α還元酵素を阻害する働きもあるので、AGA治療でも亜鉛不足にならないよう注意が払われます。

亜鉛が不足すると、ケラチンの合成ができなくなり髪が細くなったり抜け毛が増えたり、キューティクルが剥がれ枝毛ができたり、髪の艶がなくなったりします。その他にも、皮膚の炎症が起きやすくなったり、味覚障害が起こることもあります。

亜鉛は様々な場面で消費されます。アルコールを分解する際に使われるので、大量のアルコールを摂取すると亜鉛不足になります。強いストレスがかかると脳内で亜鉛が消費されます。喫煙をすると体内に大量の活性酸素が発生するのですが、この活性酸素を分解する酵素を働かせるためにも亜鉛は使われます。つまり、アルコールの摂取、喫煙、ストレスはどれも亜鉛を消費するので髪に悪影響を与える要因なのです。

亜鉛不足になるその他の要因としては、ファーストフード、コンビニ食品、清涼飲料水などに含まれる食品添加物(ポリリン酸やフィチン酸など)は亜鉛の吸収を妨げる作用あるのでこういった食べ物が中心の食生活でも亜鉛不足になることがあります。カルシウム、銅、カドミウム、食物繊維なども亜鉛の吸収を阻害します。過度なダイエットによる栄養不足でも亜鉛不足になりやすいですね。またそもそも亜鉛は吸収率が悪く、摂取してもすぐに失われやすいです。

亜鉛不足が気になる人は病院で血液検査を受けることで亜鉛不足になっているかが数値で正確に分かります。

亜鉛を補う食品は、牡蠣が一番の代表格です。100g中13.2mgも含まれています。牡蠣を100g食べればそれだけで1日の摂取量を満たせます。

しかし年中牡蠣を食べるわけにもいきませんので、大豆製品(豆乳、納豆)、赤身の肉、レバー、小麦、チーズ、うなぎ、アーモンドなどに多く含まれるので、それらを満遍なく食べましょう。

亜鉛は体外に排出されやすいので意識的に摂ることも大切ですが、逆に髪にいいからと言って無闇に摂取するのは厳禁です。亜鉛の過剰摂取は銅欠乏や免疫力の低下などを引き起こします。また精子中に亜鉛が多く含まれていることから男性は多く摂るべきだとする話がありますが、近年の研究によるとむしろ亜鉛の摂りすぎが精子に悪影響が出ることが分かっています。逆に亜鉛が精子にいいという報告はほとんどありません。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2005年版)」によると、成人男性の亜鉛の1日の推奨量は9mg、女性は7mg、上限量は30mgとなっています。

市販のサプリメントなどで補うこともできますがやはり過剰摂取に注意ですね。

私の場合は、食事の中で亜鉛が摂れてないなとか、ストレスがめちゃくちゃかかりすぎているなと感じた時に1錠サプリメントを飲むことにしています。ですから1週間に1度とか、1ヶ月に1度とかその程度の頻度ですね。

 

レバー

鉄分の不足は薄毛の原因となっているという報告があります。

特に女性は不足しがちで貧血も起こりやすいですが、貧血にまではならなくても血中の鉄分濃度が低いと薄毛になりやすいです。鉄欠乏症と診断されたことがある方は特に気をつけましょう。

サプリメントで摂ると過剰摂取になってしまうことがあるので(特に男性)、バランスの取れた食生活を心がけることで鉄分不足を解消するようにすべきでしょう。

鉄分を多く含む食品は、レバー(豚、鳥、うなぎ)、貝類(しじみ、あさり、はまぐり)、大豆製品(味噌、納豆)などです。あさりの味噌汁と納豆をメニューに入れるなどすれば鉄分を摂りやすいですね。またレバーは鉄分だけでなく亜鉛も多く含むので髪にはいい食材ですね。

 

ビタミン

ビタミンカプセル

ビタミンには多くの種類があります。その中でも薄毛予防や改善対策として特に強調されるのは『ビタミンB群(特にB6、B2、ビオチン)』『ビタミンE』『ビタミンA』などです。

ビタミンB2は、発育ビタミンと呼ばれていて、皮膚、髪、爪などの細胞の再生に関与しています。欠乏すると皮膚炎、口内炎、かゆみ、目の充血、髪のトラブルなどが起きます。

ビタミンB6は、タンパク質の代謝に必要不可欠な成分です。皮脂の分泌を抑制して、皮膚の新陳代謝を上げる効果があります。

ビオチンは、皮膚炎で産生されるヒスタミンを抑制する効果があると言われており、脂漏性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、脱毛、白髪などの改善に寄与しています。血糖値を正常にする効果や貧血の予防にも効果があります。

ビタミンEは、毛細血管の血行を促進します。

ビタミンAは、ビタミンAには細胞分裂を正常化する効果があります。頭皮の健康を保つので、頭皮が乾燥しやすい人やフケ症にも有効な成分です。よく成分表などにレチノールやβカロチンと書いてありますが、平たく言えば両方ともビタミンAのことです。

ビタミン不足になりやすい人は、偏食、ファーストフード、インスタント食品、外食などが中心の食生活を送っている人と言われます。何年もそういう生活を続けているとビタミン不足が慢性化してしまい、気付かぬうちに薄毛は徐々に進行していきます。

ビタミンはどれかひとつを重点的に摂取するというより、様々な食品から各種のビタミンを満遍なく摂取する必要があるので、できるだけ自炊するなどしてバランスの取れた食生活を心がけましょう。

偏りがちな食生活を送っている場合は、マルチビタミンサプリメントなどで総合的に補給するのも有効です。

 

ウーロン茶

ウーロン茶

リーブ21が2016年3月に行った発表によると、ウーロン茶にAGAの原因である5α還元酵素(5αリダクターゼ)を阻害する作用が確認されたとのことです。

男性の薄毛の原因であるAGAがどのようなメカニズムで起こるかというと、男性の体内(主に精巣)で作られた男性ホルモン(テストステロン)は血流に乗って体中を巡回しているのですが、この男性ホルモンが前頭部や頭頂部に多く存在している5α還元酵素と反応することでDHT(ジヒドロテストステロン)という物質に変化します。このDHTが毛球に悪栄養を及ぼし、正常なヘアサイクル(毛周期)を乱すことで薄毛を進行させます。

リーブ21の研究によると、ウーロン茶の含有成分に男性ホルモンをDHTに変えてしまう5α還元酵素を阻害する作用があることが示唆されました。5α還元酵素を阻害することでDHTを抑え、その結果薄毛を抑制できるというわけですね。現段階では研究途中なのでそれ以上の詳しいことは分かっていませんが、今後の研究でこの活性成分を同定してウーロン茶エキスと男性ホルモンの因果関係を特定していくとのことです。(参考リンク)

5α還元酵素にはⅠ型とⅡ型があるのですが、今回の報告によるとウーロン茶にはその両方を抑える可能性があるとのことですので、将来研究が進めばデュタステリドという医薬品のような効果が期待されます。もちろん現段階では医薬品と同等の効果が立証されたわけでもないし、薄毛治療薬として製薬化の目処が立っているわけでもありません。

この報告をもって「AGA患者はウーロン茶を飲め!!」ということには全くなりません。まだマウスを使った実験段階であり、詳しいメカニズムや活性成分も分かっていませんし、どの程度の量を飲めばどの程度の効果が出るのかも全く分かりませんので、薄毛を治したいからと言って早速ウーロン茶を買い込んで毎日ガブ飲みするのはやめておきましょう(笑)

ウーロン茶がAGAに効くと言えるのはどんなにうまくいっても10年以上先になると思いますが、今後の研究成果に期待したいですね。

 

大豆製品

大豆

大豆イソフラボンは、女性ホルモンと構造が似ており、特に女性は髪のために摂取すると良いと言われます。

女性ホルモンはヘアサイクル中の成長期を長く保つ働きがあります。そのため女性は男性よりも髪の毛の寿命が平均的に長いです。また肌のコラーゲン量を増加し、髪を支えることで抜けにくくする作用もあります。

ただ残念ながら全ての人に効果があるとは言えません。イソフラボンは腸内にエクオール生産菌がいればイソフラボンからエクオールに変化し、その結果女性ホルモンが活性化しますが、エクオール生産菌を持っている日本人女性は50%です。半数の人は持っていません。またエクオールは20代~30代の若い女性にはほとんど意味がないくらいの効果しかありません。

女性ホルモンの分泌が減少した更年期以降の女性には効果が出る可能性がありますので、大豆製品を多めに摂ってみる価値はあります。

大豆イソフラボンが多く含まれている食品は、納豆、豆乳、豆腐、油揚げなどです。

 

飲酒

アルコール注意看板

適度な量ならば髪の健康には問題はありませんが、過度な飲酒は先に述べたようにアルコールを分解することで亜鉛不足を招くことがあります。

またアルコールは肝臓で代謝されますが、その過程でアセトアルデヒドという毒性のある物質に変わります。適度な量ならばアセトアルデヒドはすぐに無害な酢酸に分解されるので問題ないのですが、過度に摂取しアセトアルデヒドの分解が間に合わないと、血中に流れ出て体中に毒性物質を送ってしまうことになります。アセトアルデヒドは血中の男性ホルモンをAGAの原因物質であるDHT(ジヒドロテストステロン)に変化させるので薄毛になってしまうと言われています。

睡眠とアルコールの関係にも気をつけた方が良いです。就寝前の飲酒は、利尿作用でトイレ行くために起きてしまったり、アルコールが分解されると交感神経が優位となり睡眠自体が浅くなってしまいます。睡眠の質が低下することで、育毛に悪影響が出てしまいます。睡眠は育毛のための重要な時間なのです。

飲むならば、就寝より3時間以上前に適量を飲む程度にするのが望ましいとされています。

 

ダイエット

ランニングマシン

ダイエットによる栄養不足が薄毛を引き起こしてしまうことがあります。女性は要注意ですね。

ダイエットにより髪の毛に必要なミネラルやタンパク質が不足すると脱毛や軟毛化に直結します。

身体に吸収された栄養は内臓や脳などの生命を司る重要な器官に優先して使われます。生命維持のためには優先度が低い髪や爪に栄養が配分されるのは最後になるので、ダイエットで栄養不足になると最初に悪影響が出るのが髪や爪になるわけです。

美容と健康のためのはずのダイエットが、美容にも健康にも悪い結果となってしまっては元も子もないですから気をつけましょう。食事制限ではなく運動を中心としたダイエットに切り替えたり、ごはんの量だけ半分にするなどの工夫をして健康的に痩せましょう。

 

逆に、メタボリックシンドロームや太り過ぎが明らかな場合は、適度なダイエットをすることが薄毛予防になります。

メタボが原因とされる高血圧、脂質代謝異常、高血糖はAGAとの関連性があることが報告されています。生活習慣病を抱え込んでしまうとAGAの進行を早めることにもなるのです。

メタボを改善するには内臓脂肪を減らすことです。内臓脂肪が減少することで、血糖値、脂質異常、高血圧が正常値になり生活習慣病予防だけでなく、AGA予防にもつながります。

体を動かしたり、適度な糖質制限をして、長期間をかけて徐々に健康的に痩せていけるダイエットをしましょう。

 

最後に髪の健康に良いおすすめ料理 

スンドゥブチゲ 

髪が必要としている栄養素をたくさん取り入れているメニューとしてお勧めなのは、スンドゥブチゲです。

アサリ、トウガラシ、豆腐が一度に食べられます。さらにアレンジしてワカメを入れてもいいし、野菜も入れればビタミンも摂れますね。
作り方は難しくありませんし、ご飯もすすみますし、ビールにも合うし、何より美味しいです。

 

<レシピ>

材料 

豆腐、ニラ(長ネギでもOK)、豚肉、アサリ、キムチ、ニンニク、生姜、塩、トウガラシ、ごま油、鶏ガラスープの素
お好みで海老、卵、白菜、しいたけ、コチュジャンなどを入れても美味しいです。

作り方

①鍋にごま油、ニンニク、生姜を入れて軽く炒め、その後、豚肉も入れて火を通す
②水、鶏ガラスープの素、キムチ、トウガラシを加えてひと煮立ちさせ、アサリ、豆腐、ニラなどを随時投入
③すべての食材に火が通る&塩で味を調えたら完成!!

 

基本的に鍋なので超簡単です。失敗することもあまりないと思います。
今晩のメニューにいかがでしょうか?

 

 

髪に特に必要とされている成分が複数配合されているサプリメントもあります。
自炊をする暇がない、好き嫌いが多いなど、どうしても偏りがちの食生活になってしまう方には総合的に栄養補給ができるサプリで足りない栄養分を補うのが良いですね。

⇒ 育毛サプリBOSTON(ボストン)

男性向けにはBOSTONサプリがお勧めです。この記事でも紹介した亜鉛、ビタミンB6、ビタミンE、イソフラボンの他、ノコギリヤシ、パントテン酸カルシウムなど20種類以上が配合されています。

 

⇒ 女性用育毛サプリボストン

女性向けのBOSTONサプリもあります。男性用との違いは、プラセンタ、プエラリアなどがプラスされており、女性には向いていないノコギリヤシなどが排除されていることです。28種類の成分が配合されています。

BOSTONは男性用も女性用も、それぞれに合わせた育毛成分に特化していてバランスの良いサプリだと思います。

 

 

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