円形脱毛症体験談　ある日突然10円ハゲ

私が円形脱毛症になったときのお話です。

30歳の頃、私はかなり大きいストレスを抱えていました。

仕事がうまくいかず「ヤバイなぁ。このままでは路頭に迷ってしまうかもしれない」というところまで追い詰められていました。

私は悩みがあっても、誰かに相談したり話したりすることがないので、どんなに辛い状況でも自分の中だけでなんとかしようと思い悩んでストレスを溜め込みまくっていました。

そこへさらに追い討ちをかけたのは、当時8年くらい付き合っていた彼女とのトラブルでした。

8年も付き合っていたので当然強い信頼関係を築いてきており、結婚も視野に入れていました。

しかし30歳にして仕事を失いそうな状況では結婚なんてできるわけがありません。どうにか現状を打破しなければと焦って努力を積み重ねても、事態は一向に好転しませんでした。

彼女との関係も結婚以外にもいろいろな理由があって悪化し、お互いの心の距離が大きく離れ、別れるか別れないかという状況になってしまいました。

さらにさらに家族の死も重なって私は限界を越えました。体が頭のテッペンからつま先までストレスで満たされているような感覚を持つまでに落ち込みました。1秒1秒を生きるのが辛かったです。

そんなある日、お風呂あがりに髪を乾かしていると、鏡の中の自分を見てふと気づきました。

10円ハゲが右側頭部にできていたのです。右耳の上あたりです。サイズは文字通り10円ほどで、1箇所だけ見事に髪が抜け落ちてツルツルになっていました。髪がないので頭皮を直に指で触れる状態でした。かゆみや痛みなどの感覚は全くなく、気付いたら突然ハゲができていました。抜け毛に気づくことすらできませんでした。

一瞬驚いたのですが、円形脱毛症はストレスが原因だと以前聞いていたので、「これだけストレスを抱えていたらそりゃ10円ハゲくらいできるわな」と案外客観的に受け止めました。10円ハゲなんて他に抱えているストレスに比べたら些細なことでしたからね。

全く心配しなかったもうひとつの理由は、私の父が昔円形脱毛症になった時にも私と同じような10円ハゲが2個くらいできたのですが、放っておいたら治ったのを見ていたからです。父の例を見ていたので10円ハゲは簡単に治ると思い込んでおり、私は全く心配しませんでした。

逆に、他人から見たら面白いだろうと思って友達に見せたりして話のネタにしていましたね。禿てツルツルになった頭皮をぴたぴたと触って面白い感触だなぁと楽しんだりしました(笑)

髪を切りに美容院に行った時には、「美容師さん、俺、円形脱毛症になったんですよ。一応隠れるように髪を切ってくださいね」なんて話をしたら、「え？兄ちゃん彼女といざこざでもあった？」と一発で当てられて笑ったこともありました。

美容師さんからも「このくらいなら放っておけばだいたい治るから大丈夫だよ。ちゃんと頭を清潔にしれてばいいよ」とアドバイスをもらいました。私はその言葉を真に受けていつもより丁寧に洗髪していました。

その後、私の円形脱毛症は半年後には元通りに治りました。最初は小さなうぶ毛が生えてきて、徐々に普通の太い髪に育っていきました。仕事、彼女、家庭のストレスは半年後も何も解決していませんでしたが、10円ハゲだけは自然に治りました。心配はしていないつもりでしたが、うぶ毛が生えてきた時は「ちゃんと生えてきて本当に良かった～」と心底安堵しました。

このサイトを作っている今となっては、ハゲた時の写真を撮っておけばみんなさんに参考資料として見てもらえたのになともったいなく思いますね(笑)