女性向け薄毛治療薬『スピロノラクトン』の効果・副作用などについて解説します
AGA治療薬として、ほぼ全ての病院で処方されている薬はフィナステリドとミノキシジルです。
非常に高い薄毛改善効果があるため、今や医療現場には欠かせない医薬品となっています。
一方で、処方される頻度は少ないものの、多くの医療関係者から発毛・育毛効果があると言われている医薬品もあります。
そのひとつがスピロノラクトンです。
男性にも使用できますが、主に女性の薄毛治療の医薬品として処方されていて、体質によっては高い効果が期待されています。
この記事では、スピロノラクトンの発毛力はどのくらいあるのか、作用の仕組み、副作用、どんな人に効果的なのかについて解説します。
スピロノラクトンは何に効く?
スピロノラクトンは一般名で、商品名としてはアルダクトンA錠、アルダクトンA細粒10%があります。アルダクトンのジェネリック医薬品として養毛剤ハイレス100mg(hyles)、スピロノラクトン錠25mg「日医工」などがあります。学名はSpironolactone。
なんか恐竜みたいな名前ですね。
主な用途としては「浮腫、高血圧症、心不全、低カリウム血症など」の治療薬として使用されることが多いです。
スピロノラクトンには利尿作用があって、体内の水分を尿で出すことによって血圧を下げる作用があります。強い作用ではないので、高血圧症などの治療には他の医薬品と併用されることが多いです。
薄毛治療とは全く関係なさそうなお薬ですが、なぜ薄毛治療に使われるかというと「女性ホルモン(エストロゲン)を増加させる作用」があるためです。
ここで薄毛の原因についておさらいです。
男性の薄毛で代表的なAGAや、女性の薄毛に多いFAGAの原因はDHT(ジヒドロテストステロン)という物質です。血中の男性ホルモン(アンドロゲン)が、頭部に存在している5α-リダクターゼ(5α還元酵素)と結びつくことでDHTに変化します。DHTは毛包に働き薄毛を促進します。
スピノロラクトンは女性ホルモン作用でDHTが毛包に働くのを阻害するので、AGAが進行しません。DHTによって毛包が萎縮することなく、正常に成長することができるのです。
そのためスピロノラクトンは男性ホルモンレセプター阻害薬とも呼ばれることがあります。
スピロノラクトンと似たメカニズムを持つ医薬品は他に、フルタミドや酢酸シプロテロンという内服薬や、フロリジルという外用薬があります。
また、スピロノラクトンは女性の卵巣で作られる男性ホルモンを抑制する作用があるため、男性ホルモンの過剰分泌が原因で起こる女性の多毛症や成人女性のニキビ治療にもよく使用されています。
また男性ホルモンが抑えられることで皮脂の分泌も抑制されるので、脂性肌に人には向いています。
ニキビに非常に効果が高いことから、美容外科や皮膚科でもよく処方されています。
高い発毛効果が期待されています
スピノロラクトンは内服(錠剤を飲む)で使う場合と、外用(ローションを頭皮に塗る)で使う場合があります。
内服した方が体内に吸収されやすいため効果が高いのですが、副作用も起こりやすくなります。
一方、外用の場合は内服よりも効果が落ちるものの、副作用の心配はほとんどありません。
エビデンスは低いものの、高い発毛効果があるとしている複数の報告があります。
0.01%~5%で効果があったと報告されており、薄毛改善効果が発現するための濃度には個人差があります。
スピロノラクトンを使用して発毛した人の統計を取ると70%~75%という結果だったという報告もあります。
薄毛専門外来のあるパレスクリニックでは、以下のような経験則が見られたとしています。
5%ミノキシジル、0.25%のRetinotic Acid、2%のスピロノラクトンの局所コンビネーション液の使用経験での効果は、5%ミノキシジル局所治療とFinesteride 1mg経口投与併用治療の効果を比較すると、その効果は同等であった。
引用元:パレスクリニック
なんと、ミノキシジルとの併用で、5%ミノキシジルとフィナステリド1mgの併用と同等の効果があったとのこと。
5%ミノキシジルとフィナステリド1mgの併用では、98%の人に薄毛改善効果が認められているので、それと同等というのは驚くほど高い効果だと言えます。
副作用について
スピロノラクトンは30年以上前から高血圧などの治療に使われてきた経験豊富な医薬品なので、信頼性の高い医薬品です。ここで言う信頼性とは、効果と副作用について詳細に分かっているということです。
薄毛治療を目的に使用する場合の用量は、降圧剤として使う場合の1/8~1/4と少ないため、副作用のリスクは小さくなります。
頭皮に塗るタイプ(外用)のスピロノラクトンであれば局所的に効くので、以下のような全身に及ぶ副作用の心配はほとんどありません。
・代表的な副作用
肝障害、高カリウム血症、不整脈、女性様乳房、日光過敏症、発疹、嘔吐、めまい、倦怠感、頭痛、生理不順、不正出血など
・併用禁忌薬
すでに服用中の薬がある場合は注意が必要です。
飲み合わせによっては副作用が出やすくなるので、医師に服用中の薬があることを伝えて、問題ないか相談しましょう。
併用してはいけない薬
降圧薬・エプレレノン(セララ)、免疫抑制薬・タクロリムス(プログラフ)、抗がん薬・ミトタン(オペプリム)など
併用に注意が必要な薬
アリスキレン(ラジレス)、ドロスピレノン(ヤーズ)、ジギタリス製剤、リチウム製剤など
・服用中の注意事項
飲酒は控えましょう。めまいや立ちくらみを増幅させてしまうことがあります。
運転や危険な作業などには十分注意してください。血圧が下がることでめまいが起こり、事故につながるリスクがあります。
・スピロノラクトンの使用を見送った方が良い人
心疾患、動脈硬化症、腎障害、肝障害、肝腫瘍、高カリウム血症、アジソン病(副腎不全)、を持っている方。
妊娠中・授乳中の方。
減塩療法中の方。
60代以上の高齢者の方。
また、長期間の使用には向きません。
長期間使用すると、上記のような副作用のリスクが高まるほかに、代謝異常(電解質異常)が起こることがあります。稀に好酸球の増加や巨赤芽球性貧血が現れることもあります。
長期的に使う場合には、定期的にメディカルチェックを必ず受けましょう。副作用が出た場合は必ず使用を中止して、医師に相談してください。
副作用ではないですが、スピロノラクトンにはニオイがあり、ちょっと臭いです。それが少し気になるという人もいます。
以上のように、様々な副作用がある薬なので、素人考えの独断で購入して使用するのは止めましょう。
必ずAGAクリニックや皮膚科などに行き、医師の指導の元で安全に使用しましょう。
どんな薄毛の人に効果的?
・FAGA(女性の男性型薄毛症状)
・ホルモンバランスが乱れている
・脂性肌
・成人ニキビができやすい
・多毛
・月経不順がある
以上のように女性に向いている人が多いです。
スピロノラクトンは基本的には男女ともに使用できるのですが、女性ホルモンの作用を高めるので、実際に病院で内服薬が男性に処方されることは少ないです。
ただし、男性でも「フィナステリドやミノキシジルで効果がなかった」あるいは「副作用が出たため使えない」というような人には有力な選択肢となりえます。
フィナステリド(プロペシアなど)はDHTの生成を抑制する効果がありますが、スピノロラクトンはDHTを作ることを妨害するのではなく、DHTが毛包に働きかけるのを妨害します。
フィナステリドとは作用の仕方が異なるので、フィナステリドを使用したけど効果がなかった人には、別のアプローチからの効果が期待できます。
スピロノラクトンの費用は?
薄毛治療やニキビ治療としては適応外なので、自由診療となり費用は病院によって大きく差があります。
ある病院では100mg 112錠で価格が2,600円ですが、別の病院では同じものが5,600円と2倍も違ったりします。
病院で処方してもらわずに、個人輸入業者を通して自分で買うこともできます。
ある個人輸入業者では、ハイレス(hyles)100mg 100錠が3,915円でした。
しかし、病院で処方されるのと比べて安くなく、そもそも信頼できる個人輸入業者ではないので正規品が届くのか分からないし、副作用があるので自己判断で使用するのはリスクが高いです。個人輸入でスピロノラクトンを購入するメリットは全くないです。
スピロノラクトンを処方してもらえる病院は、AGAスキンクリニック、TBC(東京ビューティークリニック)、東京美容外科などがあります。
これらの病院で処方されているオリジナル発毛薬『Rebirth Lady』にはスピロノラクトンが含まれています。
『Rebirth Lady』にはスピロノラクトンの他にも、ミノキシジルの内服薬などが入っているので発毛力が非常に高いです。効果を求める方には適した発毛薬です。
どの病院でも無料カウンセリングが受けられるので、症状の診断や治療効果などの話を聞きに行ってみるだけでも良いですね。特にAGAスキンクリニックグループは日本全国に40院以上を展開しおり、主要都市にはだいたいあるので通いやすいと思います。
以上、スピロノラクトンについて解説してきました。
発毛効果が期待できるものの、様々な副作用もあるので、取り扱いには注意を要する医薬品です。
医師の診断を受けて安全に使用すれば大きな問題が起こるリスクは減らせますので、薄毛治療を目的としてスピロノラクトンを使いたい場合は、AGAクリニックに行って診断を受けてから処方してもらいましょう。
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